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【ある昼下がりと恋模様】


 じぃっとチャガンは目の前で綺麗な顔をして静かに眠り続けている人を見つめた。

 ここはカバリア島。沼地の奥にひっそりと佇むカルバイガルの町。
 昼下がりの陽光が温かに降り注ぐ喫茶店のテラスにいつからそうしていたのかは知らないが、
神官タウは穏やかな寝息を立てている。
 いつもはその姿を確認しては黄色い声を上げ騒ぐ女性客も声を潜め、
ただ頬を染めてその姿に溜息を漏らすばかりである。

 チャガンの心境は複雑だった。
 距離を置いて見惚れるしか出来ない女性客と違い自分はこうして目の前にまで寄って眺められる。
 けれど、それは恋愛対象として許されたわけではない。
 多分、彼の妹サラの次に自分は恋愛対象として見られるには遠い存在であって、
それを打開するのは難しい。
 となると、外面距離はともかく内面距離はあの女性たちの方が近いのだろうか。
 しかし、別段何があったというわけでもないのに、そういう感情に乏しいタウ相手では、
やはり外面距離の近さが決め手となるような気もした。

 確かにタウのチャガンに対する扱いは特別なのだ。
 何かといえば構ってくれるし、我がままを言えば付き合ってくれる。
 危ないことをすればちゃんと叱ってくれて、泣き出せば慌ててくれもする。
 明らかに妹に対する態度と同じとチャガンとてわからないわけではないが、
認識されているのだという事実は勇気をもっていいだろう。
 そう解釈する。


 秋風がそよと吹いて、テラスを吹きぬけていった。
 いつの間にか肌寒いと感じるようになったそれにぶるりと一つ身体を震わせると、
チャガンは両の頬をパンパンと叩いて自分を奮い立たせた。
 どれほど見つめてしまっていたのかはわからないが、
テラスからは物見の女性客の姿が消えていた。
 「タウ様、起きて下さい〜!風邪を引いちゃいますよ〜!」
 軽く揺すってチャガンが呼びかければ、タウは少したじろいで、それでもまだ寝息は乱れない。
 「よっぽど疲れてるんですか・・・」
 反応がないことに少しがっかりしながらも、心配になってその顔を覗き込んで、
そのはずなのにチャガンはまたその顔に魅入ってしまった。

 すっと通った目鼻立ち、白い肌、長い睫毛。
 女性のそれとはもちろん違って、けれどいつ見ても綺麗なタウ。
 そう言えば、タウはいつもチャガンの可愛さには負けると返してくれるけれど、
そんな言葉さえ最近は落ち込んだ気持ちをよく救い上げてはくれない。
 もっと自分が見合う女性になれればいいのに・・・。
 そう思ってチャガンは溜息を吐いた。

 と、先ほどのことで少しは覚醒の兆しがあったのだろうか、
タイミングを見計らったかのようにタウの表情に少し変化が現れ、ゆっくりと翡翠の瞳が開かれた。
 「チャガ・・ン・・・」
 続いて掠れた声音が目の前に写した少女の名を呼び、それから瞳はもう一度だけ閉じられた。
 自分でも後々驚くことになるのだが、その時チャガンはタウの額に軽く口付けると、
すぐに離れて相手の覚醒を待った。

 やがて、タウは一つ欠伸をして今度こそ目を覚ますと、辺りを見渡して、
チャガンの姿を確認するとゆっくりと微笑んだ。


 秋の穏やかな印象とともにチャガンの目にその美しい光景は焼きついた。

end


<後書き>
営業妨害ですよ、タウ様。
いや・・・客寄せパンダ?
ていていが小説何か・・・と言ってきたので即興をば。
多分自分は永遠にタウ←チャガン(笑








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